
近年はクリニックでも、会計業務の効率化や混雑緩和のためにセルフレジの導入が進んでいます。しかし、セミセルフレジとフルセルフレジでは仕組みや使い勝手に違いがあります。そのため、どちらを選ぶべきか迷う人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、クリニックで導入されることが増えている両タイプの特徴と違いを紹介します。
セミセルフレジとフルセルフレジの特徴比較
セルフレジはクリニックでも導入が進み、会計の効率化に役立っています。ただし、セミセルフとフルセルフでは仕組みが異なり、選び方に迷うこともあるでしょう。ここでは、それぞれの特徴と違いを紹介します。
セミセルフレジとはどんなレジか
セミセルフレジは、スタッフと患者が役割を分担して操作するレジです。まずスタッフが診療費を入力し、その後患者が支払機で現金やカードによる決済を行います。会計の前半をスタッフが、後半を患者が行う流れです。スタッフが金額を間違いなく入力できるため安心感があり、患者は自分のタイミングで支払いを済ませられます。
セミセルフレジはクリニックや薬局、スーパーなどでも多く導入されており、現金の授受が自動化されることで清算作業が効率化可能です。機器の価格は1台あたりおよそ100〜200万円とされ、比較的導入しやすい点が特徴です。
フルセルフレジとはどんなレジか
フルセルフレジは、患者が会計の最初から最後までを自分で行うレジです。診療費の入力から支払いまでをスタッフが介さずセルフで完結できるため、レジ操作はすべて患者に任されます。コンビニやスーパーでよく見かける形式で、クリニックや薬局でも導入が進んでいます。
セミセルフとの違いは、会計の流れにスタッフがほとんど関与しない点です。操作は患者自身が画面の案内に従って進めるため、現金やキャッシュレス決済までスムーズに行えます。価格は1台あたりおよそ200〜300万円で、セミセルフよりもやや高額です。
セミセルフレジが医療現場で選ばれる理由
クリニックや薬局では、受付業務の効率化と混雑防止のためにセルフレジの導入が進んでいます。ここでは、医療現場でセミセルフレジが選ばれる理由について見ていきましょう。
医療現場では必須の機能と使いやすさ
クリニックや薬局で導入されるセミセルフレジには、レセコン(レセプトコンピュータ)や電子カルテとの連携機能が欠かせません。この機能により、患者ごとの診療報酬や薬剤費が自動で計算され、POSレジに正確な会計情報が反映されます。診療データと会計データがひとつにまとまるため、入力ミスや金額の不一致によるトラブルを防げます。
さらに医療現場では自動釣銭機の導入が急速に広がり、会計時の接触を減らす工夫が進んでいるのです。感染症対策を重視する医療機関において、こうした機能は今や欠かせないものとなっています。
患者に優しい操作性となっている
クリニックや薬局には、小さな子どもから高齢者までさまざまな年代の患者が来院します。フルセルフレジは金額の確認から支払いまでをすべて利用者が行うため、とくに高齢の患者は画面操作に戸惑い、会計がスムーズに進まない場面も少なくありません。
セミセルフレジならスタッフが金額を登録したあと、患者は支払機に現金やカードを入れるだけで済むため、手順がわかりやすく安心です。年代を問わず利用しやすい点が、医療機関でセミセルフレジが好まれる理由といえるでしょう。
受付が変わる!セミセルフレジの導入メリットとは
セミセルフレジは、患者だけでなくクリニック側にも多くの利点があります。ここでは、その主なメリットを紹介します。
人手不足をカバーできる
医療現場では受付スタッフの確保が難しいことが少なくありません。セミセルフレジを導入することで、スタッフは金額の入力だけを行うことが可能です。これにより、レジ対応にかかる時間を大幅に減らせます。
その分、スタッフは問診の対応や電話応対などほかの業務に集中できます。人員を増やさずに業務を分担できるため、慢性的な人手不足をやわらげる効果が期待できることでしょう。
会計ミスや不正を減らせる
従来の手渡し会計では、釣銭の渡し間違いや金額の入力ミスなどが発生することがありました。セミセルフレジでは、金額の計算や釣銭の受け渡しが機械で自動処理されるため、こうしたヒューマンエラーを防ぎやすくなります。
また、レジ操作の記録が残るので現金管理がしやすく、不正防止にも役立ちます。正確な会計ができることで、患者とのトラブルも減らせるでしょう。
感染症対策にもつながる
医療機関では、患者とスタッフが直接現金をやり取りすることに不安を感じる場面もあります。セミセルフレジなら支払いは機械を通して行うため、手渡しでの接触を減らすことが可能です。
さらに自動釣銭機を使うことで、硬貨や紙幣を直接触れる機会が少なくなり、衛生面のリスクを軽減できます。接触の機会を最小限に抑えることは、感染症対策を重視する医療現場にとって重要なポイントです。
まとめ
セルフレジは医療現場でも広がりを見せていますが、その中でもセミセルフレジは幅広い患者層に対応しやすく、受付業務の負担を軽くする点で注目されています。フルセルフレジとの違いを理解したうえで、自院の環境に合ったレジを選ぶことが大切です。とくにセミセルフレジは、人手不足の解消や会計ミスの防止、感染症対策といった課題への対応力が高く、導入によってスタッフと患者双方に安心感をもたらします。効率化だけでなく、快適な受付環境をつくるための重要な設備といえるでしょう。