クリニックを開業する際には、買いそろえなければならないものが多数あります。診察室や受付、待合室、スタッフルームなど、場所ごとに必要な物品は多数あります。具体的には、どのようなものを買いそろえたらよいのでしょうか。今回は、クリニック開業に必要な備品リストや、備品と消耗品の違いなどについて紹介します。
消耗品とは違う?備品とは
備品と消耗品はどちらも会社で使う物品ですが、会計処理においてはそれぞれ異なる取り扱いがされます。
備品とは
備品とは、通常は取得価額が10万円以上で1年以上使用可能な物を指し、固定資産として扱われます。このため、購入後は減価償却という方法で費用を配分していきます。
消耗品とは
一方、消耗品は取得価額が10万円未満で、使用期間が1年未満のものを指します。消耗品として購入されたものはその年度の経費として全額を計上することが可能で、減価償却の必要はありません。消耗品には文房具やコピー用紙、また、1台10万円未満のパソコンなどが含まれます。
「雑貨」という概念もある
消耗品と似た概念に「雑費」があります。雑費は何かに明確に分類できない少額の購入品や、一時的な費用に使用されます。消耗品と雑費は一見似ていますが、用途や性質が少し異なるため、経理処理の際にはその違いをしっかり理解しておく必要があります。
混乱しないように社内の統一基準をつくることが大切
このように、備品や消耗品、雑費はそれぞれ定義と経理処理方法が異なるため、経理担当者が混乱しないように社内で統一した基準やマニュアルを作っておくのが重要です。
特に、備品と消耗品の境界は取得価額や使用期間で決まるため、消費税を含むか否かも含めて自社の基準に沿って判断することが求められます。
診察室に必要なものは?
クリニックを開業するために必要な備品には、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、金額が10万円以下であっても備品と考えたほうがわかりやすいものについては、消耗品ではなく備品として扱います。
クリニックの診察室は、医師にとって仕事場であり、患者にとっては安心できる医療の場であるべきです。そのため、診察室には様々な備品が必要となります。
机・椅子
まず、医師が診察を行うための診察机と医師用椅子は欠かせません。長時間快適に座って作業ができるよう、高さや座り心地にこだわることが大切です。患者がリラックスして診察を受けるための患者用椅子も重要な備品です。
医療機器
診察に必要な医療機器としては、体重計、血圧計、聴診器、パルスオキシメーターなどがあります。体重計や血圧計は患者の基礎データを取るために重要であり、聴診器は心音や呼吸音を確認するために使用します。パルスオキシメーターは、患者の酸素飽和度を簡単に測定できるツールです。
衛生用品
また、衛生面にも十分配慮する必要があります。消毒器具やマスク、手袋などの感染予防品は、患者と医師双方を守るために必ず用意しておきましょう。包帯やガーゼなどの衛生材料も、診察には欠かせない消耗品です。
これらは診察の際に利用頻度が高く、ある程度のストックを確保しておくことが求められます。診療科によっては、これらに加えて特有の器具や材料が必要となることもありますので、診療科に合わせた設備や材料を用意することが大切です。
医師の快適性と患者への適切な診療の両立を図ることで、理想的な診察室環境が整います。
受付・待合室に必要なものは?
次に、受付や待合室に必要な備品・消耗品を見ていきましょう。
受付
受付はクリニックの顔となる重要な場所です。患者が最初に向かう場所なので、明るく清潔感のある雰囲気作りが大切です。事務用品としては、カルテや筆記用具、診察券入れ、レジスター、シュレッダーなどが必要です。
カルテは患者が記入しやすいように配慮し、診察券入れは分かりやすい場所に設置しましょう。さらに、患者の立場に立った時、老眼鏡や杖ストッパーなどがあると安心です。ご意見箱を設置することで、患者の声をクリニック運営に活かすことができます。
待合室
次に、待合室は患者が診察までの時間を過ごす場所なので、リラックスできる快適な空間にします。ソファや椅子は座り心地が良く、クリニックの雰囲気に合ったものを選びましょう。待ち時間を退屈させないよう、テレビや雑誌、絵本などを置くのも良いでしょう。
小児科の場合、子どもが安全に遊べるキッズスペースがあると、親御さんも安心して診察を待つことができます。おもちゃや絵本、マットなどを用意し、子どもたちが楽しく過ごせる空間を作りましょう。さらに、空気清浄機や加湿器を設置することで、院内の空気を清潔に保ち、患者に快適な環境を提供できます。
スタッフルーム・バックヤードに必要なものは?
クリニックを開業する際、スタッフルームやバックヤードには様々な設備や備品が必要となります。まず、スタッフの休憩や食事のために冷蔵庫と電子レンジは欠かせません。
食事をする際に使用するコップなどの食器類も、用意しておく必要があります。また、休憩時に使用するテーブルと椅子も重要です。そして、スタッフの私物を保管するためのロッカーも必須です。
クリニックの清潔を保つために、掃除機や掃除道具も準備しましょう。これらの基本的な備品に加えて、スタッフのユニフォームやスリッパなども必要となります。これらの設備や備品を適切に配置することで、スタッフが快適に働ける環境を整えることができます。
まとめ
今回はクリニック開業に必要な備品リストや重要度の高い備品、消耗品と備品の違いなどについて解説しました。クリニックには医療行為に必要な備品だけではなく、事務処理や受付に必要な備品や待合室に必要な備品、クリニックで働くスタッフのために必要な日便が多数あります。開業する前に、これらの備品についてリストアップし、開業までに買いそろえるようにしましょう。