クリニックは、患者の診療代金が売上となります。患者が診療代金を支払ってくれないと、クリニックの経営に大きな影響を及ぼします。もし未収金がある場合は、速やかに対応しなくてはいけません。この記事では、未収金の対応方法や未収を起こさないための対策を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
未収金はクリニックの経営にも影響を及ぼす
クリニックで未収金が起きてしまうと、経営にも大きな影響を及ぼします。未収金が発生する原因について、クリニック側と患者側に分けて見ていきましょう。
クリニック側が原因の未収金
医療費の負担額や検査内容については、事前に患者に説明しておかないと所持金が足りないという事態が発生します。検査内容を説明しただけでは、患者はどのくらいの医療費がかかるか分かりません。
そのため、想定以上の高額の検査が行われ所持金が足らない、保険外診療のため長期の分割払いとして処理する、時間外診療で保険証も所持金も用意していないというケースが発生することも少なくありません。
未収金は、次回の来院時や次回の診療時に回収することが原則ですが、時間外診療の場合は会計処理ができていないと未収金の存在を把握できていません。未収金を患者に伝え忘れないためにも、管理システム上で工夫する必要があります。
患者側が原因の未収金
支払い能力がある場合でも、会計の際に所持金が不足していて未収金になってしまうケースも少なくありません。また、会計の待ち時間が長すぎるため勝手に帰宅してしまう、支払い関するトラブルで未収金になるケースもあります。
会計の待ち時間に関しては、時間を短縮するために対策をする必要があります。支払いに関するトラブルを防止するためには、説明や対応をしっかり行わなくてはいけません。
未収金が発生したらどうすればよいのか
未収金が発生した場合は、どのように対応するべきなのでしょうか。
催告状を送付する
まずは、未払いの患者に連絡し催促します。電話で伝えるだけでなく、書面で請求書を送付しましょう。請求書や催促に関する書類は、弁護士のチェックを受けておくと安心です。その後、直接未払いの患者に合って交渉を行いましょう。
少額訴訟を起こす
少額訴訟は、裁判所に訴える方法です。この訴訟は、60万円以下の支払いを求める際に利用できます。少額訴訟の場合は弁護士は必要なく、基本的に1回の口頭弁論のみで判決が出ます。
裁判所から督促状を送る
未収金が60万円を超えている場合には、裁判所から督促状を送付してもらいましょう。これは、債権者の申し立てに応じて、未払金の支払いを命じる督促状を送付する制度です。
書類審査なので、クリニック側の手間が少なくて済みます。督促状を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てない場合、債権者は強制執行手続きを取ることが可能です。
民事調停を行う
裁判に申し立てをし、未払い者と債権者の間に第三者を入れての話し合いで解決を図ります。調停で合意に達した場合、その内容を記載した調停調書が作成されます。調停調書は、裁判の判決と同じ効力をもつものです。
民事訴訟を行う
未払い者を相手取り、裁判を起こします。裁判は費用と時間がかかってしまいますが、勝訴すれば強制執行を申し立てられます。これにより、未収金の回収が可能になるのです。
未収金問題を予防するには普段の対応が大切!
クリニックの未収金問題を予防するためには、普段の対応が大切です。未収金問題を解決させるための方法を、下記に詳しく紹介します。
患者の情報を適切に管理する
未収金を回収するためには、患者の情報が必須です。患者情報が把握できていなければ、回収することは難しいでしょう。クリニックとして当然のことではありますが、普段から患者の情報をしっかり管理しておくことが重要です。
早めに弁護士に相談する
クリニック側が独自の回収方法にこだわってしまうと、患者とトラブルになってしまうかもしれません。トラブルが多発してしまうと、クリニックのイメージダウンにも繋がります。独自で回収することが難しいと判断した場合、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
自動精算機を導入する
自動精算機は、患者が精算から金銭の授受までを完結させられる機械です。電子カルテやレセプトと連携できるので、受診内容や請求内容、自費または保険診療、お釣りの金額など、多くの情報が記録できます。
自動精算機を導入すると、会計の待ち時間を短縮できるため、待ち時間の長さが原因の未収金を防ぐことが可能です。また、外国人患者の会計もスムーズに行えるため、トラブルを未然に防げます。
さらに、キャッシュレス決済に対応している自動精算機ならば、小銭を数える手間や小銭を財布にしまう手間を省けます。これにより待ち時間が短くなり、患者の満足度の向上にもつながるでしょう。
まとめ
クリニックの未収金の対応方法や、未収金を起こさないための対策について紹介しました。診療代金はその場で支払うことが基本ですが、さまざまな原因により未収金が発生してしまうケースも少なくありません。未収金を予防するためには、患者情報の適切な管理や、自動精算機に導入がおすすめです。自動精算機は待ち時間の短縮に効果的なので、待ち時間の長さが原因の未収金問題を解決できるでしょう。